絶対読んで欲しい編集部おすすめ記事4選!
重要な財務戦略のひとつ「自社株買い」を実施する企業が増えています。
投資家に向けて発行した株式をその企業自身が買い戻す自社株買いは、企業や株主にとってどのような効果をもたらすのでしょうか。
その仕組みをしっかりと理解し、投資機会を逃さないためにも、たくさんのメリットを持つ自社株買いの魅力と投資タイミングを探っていきましょう。
>>【無料】ゼロから安定して稼ぎ続ける投資家育成講座をタダで学ぶ目次
余剰資金を使って自社の株式を買う目的
本来ならば経営資金を確保するため投資家に買ってもらう株式を、なぜ企業側が買い戻す必要があるのでしょうか。
自社株買いは株主への還元対策
基本的に企業が生み出した利益は、借金の返済に回すか、配当金を増やして株主還元したり、内部保留(設備投資等)するといった使い道があります。
そこで、1年間の利益を株主に還元するため、自社株買いの登場です。
株主の価値を高めるためにも、内部に留めておいた資金を使って自社株買いを実施しますが、企業が自身の株に買い注文を出して株価を釣り上げるようなことをするわけではありません。
細かいルールが定められていて相場操縦などの行為はできず、事前に金額や株数を決めて公表されます。
配当と違って自社株買いは定期的に実施する必要がなく、株価が上昇しても保有していれば税金は掛かりませんので、株主にとってはメリット。
市場に発行されていた株式数が減少することで1株あたりの純利益が上昇し、株主の価値を高めることができるのです。
買収防衛となる金庫株
自社株を買い戻した後は消却せず「金庫株」として保有することもあります。
なぜ保有するのかというと、自社の持ち株比率を高めることで敵対的買収を防ぐ効果があるのです。
これは自社株買いが好材料として働き、株価が上昇することで買収に掛かる費用が膨らみ、結果買収されにくくなります。
また、いざM&Aを行う際にはこの金庫株を用いて株式交換として企業買収を行うことができますので、手元から現金が出たり借り入れたりの必要もなくなることから、企業側と投資家どちらにもメリットがあると言えるでしょう。
金庫株の保有状況によると、最近はこのように買収防衛策として自社株買いを実施している企業が増加傾向にあります。
ひとつ不安要素を挙げるとするならば、実際のところ企業が金庫株をどのようにして使うのか分かりづらい部分があるということ。
低リスクで堅実な投資を行うためにも企業情報はチェックしておきましょう。
▼関連記事
【企業買収(M&A)で株価はどうなる?子会社化による影響と過去の事例】
- 自社株買いで1株あたりの純利益が上昇し株主の価値が高まる
- 自社の持ち株比率を高めることで敵対的買収を防ぐ効果がある
自社株買いの発表で人気化する理由
なぜ、自社株買い発表後は短期的に株価上昇する傾向にあるのでしょうか。
株価が割安であるという表れ
経営者が、自社の評価はもっと高くあるべきだと判断したときに自社株買いを行うこともあります。
裏を返せば、今後の見通しに強気であることの表れであって「今うちの株価は割安だぞ!」ということをアピールしているのです。
これはアナウンスメント効果とも呼ばれ、将来の株価に自信があるからこそ、わざわざお金を使って自社の株式を買います。
そうすることで投資家は安心して企業の株式を買うことができ、自社株買いはその後押しの役割を果たすのです。
このように「買いが入る」ということがわかるからこそさらに買われやすくなり、高い確率で株価は上昇します。
ただ、自社株買いが好感されるのは基本的に成熟した企業に当てはまる考えと言えます。
成長途上の企業が行うと「今後の成長に曇りが見えてるから内部保留を放出するのではないか」という憶測が飛び交ってしまうこともあるのです。
今後の業績予想が強気かどうか、これまで定期的に自社株買いを行っている企業かどうか、企業情報を確認するようにしましょう。
株価収益率と株主資本利益率の向上
投資株式を購入する際にはその株価が割安なのか判断する必要があります。
割安かどうかを判断する指標、株価収益率で使用する1株あたり利益は市場に出回っている株数で計算するため、自社株買いを実施して企業が取得した株式は含まれません。
つまり、自社株買いによって市場の株式が減少することで1株あたり利益の増加に繋がるため、必然的にPERの低下に働くのです。
PER(株価収益率)が低いほど割安であると評価され、買われやすいということになります。
さらに、自社株買いにはROE(株主資本利益率)の改善にも効果があります。
上記の計算式でROEを求めるとき、自社株買いした株式は株主資本から差し引かれ、結果ROEが高まります。
海外投資家にとっては大事な指標であり、一般的にROEの数値が10%以上あれば優良企業であると判断されます。
日本市場の売買代金を占める割合が大きい海外投資家を取り込む戦略としても有効なのが、自社株買いというわけなのです。
PERとROEを深く知ることで割安株・成長株を見つけることができます。
▼関連記事
【ファンダメンタルズ分析とは?具体的銘柄選定フローと必要知識の解説】
- 自社株買いによってPERが低下し割安と判断される
- 同時にROEも改善され海外投資家の資金も取り込むことができる
スポンサードサーチ
ここだけは確認すべき注意点
自社株買いを行う企業は「自己株式の取得に係る事項の決定に関するお知らせ」という内容でIRの発表を行います。
企業の開示情報と業績をチェック
自社株買いを発表した企業の業績やIR情報とその目的はチェックしましょう。
ストックオプションと言って、株主還元の目的ではなく自社社員に取得させるための自社株買いもあり、その場合株価への影響は比較的小さくなります。
また、株式を市場で買い付けるのか、TOSTNET(トストネット)を利用して場外での買い付けなのかという違いもあります。
TOSTNETでの買い付けの場合は機関投資家や大株主から時間外取引で株を取得する流れです。
その為、普段あまり流通していない株式を取得するわけですから、市場での買い付けに比べると株価への影響は小さくなります。
自社株買いは、アナウンスメント効果と株主還元対策、M&Aに備える、という3つが主な目的です。
短期的に見ると高確率で上昇しますが、業績が伴わないと結局以前の水準まで値を落としてしまいます。
業績好調且つ、過去にも自社株買いを行い好感されている、そういうケースに出会ったら積極的に買ってみることをオススメします。
▼関連記事
【ストックオプションの発行は株価にどう影響する?新株予約権との違いや条件について】
自社株買いが行われない場合もある
自社株買いは、発表から1日で取得が終わる場合もあれば、数ヶ月かけて買い増ししていく場合もあります。
その期間は定期的に、現在どれくらい取得しているのかが公表されます。
ここで注意したいのは、自社株買いを発表したにもかかわらず自社株買いが行われない場合も稀にあるということ。
発表内容には、取得する株式の総数1,000,000株(上限)などと記載がありますが、発表後この株数を必ず買うという決まりは無いのです。
自社株買いは『必ず行われるものではない』ということを念頭に置きましょう。
様々な事情が重なり合ってこのような事が起こるのだと思いますが、株主を軽視しているとも捉えられ、企業体質を疑わざるをえません。
また、自社株買いにて上場廃止にするパターンもあります。
自社株買いの発表が出たら、まずはIR情報をチェックし、過去の動きから傾向を掴むことです。
「株探」などのWEBサイトを使って、過去に自社株買いを行った企業の取得に関する細かい情報を収集してみましょう。
▼関連記事
【【要注意】上場廃止となった株はどうなる?注意点と対処法の全て】
- 業績好調且つ過去にも自社株買いで好感されているかチェック
- 自社株買いは『必ず行われるものではない』ということを忘れずに
まとめ
東京証券取引所は毎月、自己株式の処理状況に関する情報を公開しています。
これを元に統計をとってみると、約7割の自己株式は消却されていますが、残りは再び市場に向けて売却されるなどして処理されています。
つまり、長期的に見たとき自社株買いのすべてが上昇要因になるとは考えにくいということです。
企業の業績やIR情報をしっかりと確認した上で、短期的な上昇幅を取りに行けるよう、自社株買いの発表にはアンテナを張りチャンスに備えましょう。
絶対読んで欲しいおすすめ記事!
いいね!しよう
情報を受け取れます