ファンダメンタルズ分析

キャッシュフロー計算書とは?誰でもわかる見方を丁寧に解説

キャッシュフローとは「お金の流れ」を意味します。

 

リーマンショック以降、キャッシュフローの悪化による黒字倒産が目立ったことから、キャッシュフロー計算書が重要視されるようになりました。

 

このお金の流れは、企業活動はもちろんその企業を応援する投資家にとっても非常に重要なものです。

 

今回はキャッシュフロー計算書の見方、そこから分かる企業体質などを解説していきます。

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財務三表の1つ「キャッシュフロー計算書」

キャッシュフロー計算書とは「一会計期間のお金の流れで会社の実態を表す財務諸表」のことで、会社にどれくらいのお金があるのかが分かるものです。

キャッシュフロー計算書の目的や役割とは?

キャッシュフロー計算書は、企業の財務状況によって融資の可否を決める与信判断においても近年重要視されている資料のひとつ。

 

 

細かなお金の出入りが把握できるため、企業の家計簿とも言われています。

・企業活動によってその年度にいくらキャッシュを稼いだか、もしくは調達したか

・調達したお金をいくら投資に回し、期末にいくらキャッシュが残っているか

 

このように企業の取引にはすべてキャッシュが関連していますが、ここで言うキャッシュとは現金及び現金同等物などの資産を指しています

 

企業の提供するサービスの売上回収には時間差が生じることがあり、そうなると例え多くの売上があっても手元にキャッシュが無い状態になります。

キャッシュが入らなければ借金の返済や商品の仕入れなどが滞ってしまい、資金繰りが厳しくなるのです。

 

2008年のリーマンショック以降、不動産業が相次いで黒字倒産したケースもこれにあてはめることができます。

キャッシュフロー計算書からこのような危険を察知することができるのです。

損益計算書や貸借対照表との関係は?

企業の財務状況を読み解く書類「貸借対照表」と「損益計算書」に「キャッシュフロー計算書」が加わり、主な決算書は3種類となりました。

 

一般的に複雑なイメージがあり、これまで避けてきた投資家も多いはずの財務三表には、以下の内容が記載されています。

貸借対照表

資金調達をどのように使ったかを示したもの

 

損益計算書

どのくらいの利益を稼いだのかを示したもの

 

キャッシュフロー計算書

稼いだお金、使ったお金の流れを示したもの

 

3つの決算書の役割はそれぞれ異なりますが、互いの数値は連動し合っており、一方が良くなるとその他の数値も改善される関係にあるのです。

 

財務三表の見方をマスターすることができれば、企業経営がうまくいってるのか、そうでないのかを判断することが可能となります。

 

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  • 財務三表から企業の経営状況の良し悪しが分かる
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お金の流れがわかる3つのキャッシュフロー

キャッシュフロー計算書は「営業」「投資」「財務」の3区分で、企業のお金の流れをより分かりやすくしています。

営業活動によるキャッシュフローとは?

営業キャッシュフローとは、企業の提供する商品やサービスによる収入から、給与や経費等の支出を差し引いた結果に残るお金の増減を表しています。

 

年間どれくらいのキャッシュを生み出せているのかがわかる大切なキャッシュフローです。

 

多くのキャッシュが残っているほど今後の営業活動をスムーズに行うことができますが、赤字だとすれば現金不足で苦戦していることがわかります。

その場合の経営状態は好ましくなく、注意すべき企業と見てよいでしょう。

投資活動によるキャッシュフローとは?

投資キャッシュフローとは、設備投資を中心に固定資産や株式・債券などの売買をした際のお金の流れを表しています。

 

事業を展開するための土地や機械の購入など、将来のためにどれだけお金を使っているのかが分かるものです。

 

営業活動を行っていくうえで、固定資産を含む設備投資は必要不可欠ですので、基本的に優良企業はマイナスであることが多い傾向にあります。

今後の利益を増やすためにも重要な部分でありますが、負担になりすぎない投資額を捻出している企業が好ましいと言えるでしょう。

財務活動によるキャッシュフローとは?

財務キャッシュフローとは、どのくらいの資金調達が行われたか、もしくは返済されたかを示すキャッシュの増減を表しています。

 

営業活動と投資活動によって生じる収支差の調整を行うものです。

 

健全な財務キャッシュフローであれば、通常は配当金の支払いや自社株買い、借入金の返済などを行いますので、この項目はマイナスとなります。

しかし、積極的な成長を目指す企業は調達資金が多く財務キャッシュフローがプラスの場合もありますので、全体のバランスを見ることが大切です。

フリーキャッシュフローという考え方も重要!

以上、3つのキャッシュフローに加えて、会社が自由に使えるお金となるフリーキャッシュフローという考え方もあります。

 

フリーキャッシュフロー = (営業キャッシュフロー) - (投資キャッシュフロー)

 

このような計算式となりますが、営業活動で得たキャッシュを投資活動に使ってもなお残るキャッシュのことを指しています。

フリー・キャッシュフローが豊富な企業は資金不足が起こることなく、事業拡大や新規事業への展開が予想されることから健全であるとみなされるのです。

 

 

【ここだけチェック!】
  • 営業キャッシュフローがマイナスの場合は資金不足に陥ってる可能性あり
  • 投資キャッシュフローがマイナスの場合は積極的な投資を行っている企業
  • 財務キャッシュフローがマイナスの場合は借金返済や株主還元ができている
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キャッシュフロー計算書の見方をカンタン解説!

ここでは具体的なキャッシュフロー計算書の見方について解説していきます。

チェックすべきたった5つのポイント

トヨタ自動車が公表した2017年3月期のキャッシュフロー計算書を参考に、チェックすべき重要ポイントを確認していきましょう。

                                   △=マイナス

営業活動からのキャッシュフローがプラスを維持できているかは、企業の存続にかかわる重要事項です。

マイナスが数期に渡り続いていれば、経営の行き詰まりが懸念されます。

 

投資活動からのキャッシュフローでは将来のために投資してるか、新たな収益源の確保のために活動しているかが分かります。

 

財務活動からのキャッシュフローでは、営業・投資活動を踏まえた適切な資金調達が行われているかが分かります。

 

トヨタの2017年3月期に約556億円の現金がプラスになっていることがわかります。

 

トヨタの最終的な現金残高で2兆9,995億円となります。通常、この部分は必要なキャッシュだけを残してあとは投資などに回されています。

経営状態の良し悪しを判断する3つのパターン

キャッシュフロー計算書で営業・投資・財務の数値を見たときに分かる経営状態を、3つのパターンに分けてみました。

 

優良企業系 積極投資系 業績不振系
営業CF プラス プラス △マイナス
投資CF △マイナス △マイナス プラス
財務CF △マイナス プラス プラス

 

トヨタ自動車のキャッシュフローは上記の「優良企業系」のパターンに当てはまり、モノを売る企業の典型的な優良キャッシュフローと言えます。

 

 

このようなサイクルがバランスよく成り立っている優良企業が、キャッシュフロー計算書ではひと目で判断できるというわけです。

 

また、新規事業の立ち上げや規模拡大などの場合は、借入金を作るため財務キャッシュフローがプラスになる「積極投資系にあたります。

今後の成長期待が高いこのパターンも視野に入れると良いでしょう。

黒字倒産を見抜く為のキャッシュフロー計算書の見方

赤字でも倒産しない企業は多く存在していますが、なぜ利益が出ているにもかかわらず黒字倒産が起こるのでしょうか?

 

そのメカニズムとして、会計上では利益が出ていてもキャシュフローがマイナスになることで支払いが追いつかないなどの理由から倒産する場合があります。

 

銀行から借り入れすることができず経営が行き詰まった状態で、キャッシュの収支バランスが崩れてしまったことが原因です。

 

そこで、前述した「フリーキャッシュフロー」が鍵となります。

企業が自由に使える現金のフリーキャッシュフローがプラスでなければ、資金繰りに苦労し、黒字倒産を引き起こす可能性が高まってしまうのです。

 

フリーキャッシュフロー = (営業キャッシュフロー) - (投資キャッシュフロー)

この計算式から、十分な運転資金があるのか確認することも意識しましょう。

 

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  • 営業キャッシュフローがプラスであることは最低条件
  • 財務キャッシュフローがプラスの場合も将来性が見込める
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まとめ

キャッシュフロー計算書の見方を身に付けておけば、それぞれぞのキャッシュフローで企業が何を意図しているのかを判断することができます。

 

また、キャッシュフロー計算書でしか知り得ない黒字倒産するケースなどもある程度予測できるため、今後の投資に有利に働くでしょう。

 

企業のお金の流れを知ることで、その背景にある投資材料が見えてきます。

 

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