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皆さんは「HEROZ」という会社をご存知でしょうか?
2018年4月20日に東証マザーズに上場した同社の初値は、現行のIPO制度下では過去最大となる、公募価格より989%上昇と約10倍の初値になりました。
多方面で話題となったHEROZですが、実際はどのようなビジネスをしているかご存知でない方が多いと思います。
そこで今回、驚異の初値をつけたHEROZの会社概要と上昇した理由について検証し、その背景にある勝率90%以上のIPO投資の魅力も見ていきたいと思います。
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HEROZ(4382)の基本情報
AI関連企業の大本命とも言われ、新規上場案件としてはかなりの注目を集めたHEROZの会社情報・IPO情報2つの視点から見ていきましょう。
会社情報
HEROZは2009年にインターネットサービスの企画開発を行う目的で設立されたITベンチャーです。
NECで経営企画を担当していた現CEOの林隆弘氏と、現COOの高橋知裕氏が共同で創業しました。
当初はSNS・mixi向けのアプリの開発を行っていましたが、早くから人工知能「AI」の可能性について見出した同社は、スマートフォン向けに自社開発の「人工知能」搭載ゲーム・「将棋ウォーズ」を開発し、人工知能開発に取り組んで行きました。
現在、HEROZのビジネスモデルはカスタマー向けと法人顧客向けの二本柱です。
カスタマー向けには人工知能を活用したスマートフォン向けゲームを提供を行っており、主軸ゲームの将棋ウォーズは2018年現在会員数が420万人を超えるタイトルに成長しています。
同ゲームの特徴は、世界中の利用者とオンライン対戦ができる点と、同社が開発した将棋AIが顧客に代わって手を打つ機能を有している点です。
この技術は、実際に「プロ棋士VS人工知能」の対決の際に、同社開発の人口知能ロボット「Ponanza」を利用していることで世間を騒がせています。
その技術はプロ棋士を負かせてしまうほどのレベルまで進化しています。
一方の法人顧客向けには、「将棋AI」の開発で培ったディープラーニング技術を活用した「HEROZ Kishin」を、金融や建築、人材、品質管理などの企業向けに提供しています。
業績については現状スマホゲームによる課金収入が中心となっている一方、AI開発に対する費用がかさんでいることもあり、業績が右肩上がりに大きく伸びている状況ではありません。
しかし、上場を機に大きな成長を期待できると、かなりの資金と注目が向けられています。
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HEROZの上場時の情報は以下の通りです。
企業名 | HEROZ(ヒーローズ) |
上場市場 | 東証マザーズ市場 |
銘柄コード | 4382 |
事業内容 | 人工知能(AI)を活用したインターネットサービスの企画・開発・運営 |
所在地 | 東京都港区 |
設立 | 2009年 |
従業員 | 34名 |
会社HP | https://heroz.co.jp/ |
監査法人 | トーマツ |
上場日 | 2018年4月20日(金) |
主幹事 | SMBC日興証券 |
BB期間 | 2018年4月5日(木)~2018年4月11日(水) |
価格決定日 | 2018年4月12日(木) |
購入申込期間 | 2018年4月13日(金)~2018年4月18日(水) |
公募株数 | 総数172,200株 (内、公募172,200株、売出0株) |
OA分 | 25,800株 |
発行済み株数 | 3,333,839株 |
想定価格 | 3,640円(100株単位・36万円) |
仮条件 | 3,900円~4,500円 |
公開価格 | 4,500円 |
初値 | 49,000円 |
配当利回り | なし |
想定時価総額 | 121億円 |
中小型株IPOに定評があるSMBC日興証券が主幹事を務めており、仮条件の上限である「4,500円」で条件決定されていました。
その後上場から3日間初値が付かない異様な様相で、付いた初値は現行のIPO制度下において最高となる「988.8%」の上昇となりました。
いわゆるIPO銘柄で初めての「初値テンバガー」となりましたが、上場後の現在は初値より低い価格で推移しております。
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HEROZ(4382)の初値が高騰した3つの理由
上場初値でテンバガーとなったHEROZですが、なぜここまで初値が高騰したのでしょうか。
その理由は大きく分けて3つ挙げられます。
AI銘柄に対する市場の過剰反応した点
HEROZの主力事業が「AI技術を活用したシステムの開発」である点が、初値を暴騰させた要因であると考えられます。
実際、同様のAI関連で上場している銘柄が同社の初値に影響を及ぼしたと言われています。
それは2017年9月に上場した「パークシャテクノロジー(PKSHA Technology)」です。
パークシャテクノロジーの公募価格は2,400円でしたが、初値5,480円と128%増と2倍超えの初値となりました。
その後16,730円まで株価が高騰し、一時公募価格から約7倍までの上昇を見せています。
同社にはトヨタ自動車が出資するなど、AI技術に対する投資家の期待から投機の対象となりました。
同じく将棋AI等ですでに露出していたHEROZは、投資家と投機家双方の資金を寄り付きから集めたのです。
第二のパークシャーを目指した買いが「入りすぎた」のではないかと考えられます。
大株主に投資界で著名な人物を有する点
HEROZの目論見書を見ると、2人の有力な投資家が名を連ねていました。
まずは「藤野英人」氏です。
彼はひふみ投信で有名な「レオスキャピタルワークス」の代表を務めており、個人投資家からも崇拝されている、現在最も影響力のあるファンドマネージャーです。
個人として出資している点からも同社の将来を期待したものであることを裏付けています。
そして、その藤野氏と同様に出資した方が「片山晃」氏です。彼は個人投資家から成り上がった億り人であり、当初65万円の投資金を25億円にまで増やした実績があります。
その後、藤野氏のレオス社のアナリストとしても活躍したこともあり、その縁で片山氏は藤野氏と共同で設立したファンドでHEROZに出資。
現在はファンドが解散しそれぞれ半分を保有する形となっていますが、早くから目をつけている点を投資家が高く評価をしたと考えられます。
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日本株全体の勢いが少なかった点
HEROZに注目が集まったもう一つの要因として、他の日本株への投資魅力が欠けていたという点が挙げられます。
2018年初頭は「年末30,000円」と日経平均株価を予想するストラテジストもいましたが、日経平均株価は1月に付けた24,000円から2月の大暴落を経て、22,000円台と推移していました。
またそのタイミングで米国と中国との間で貿易摩擦が発生し、外需産業に影響が出てくるとの懸念から株価が軒並み上がらないという背景も重なりました。
国内内需の銘柄が注目される中、AI技術の宝庫であったHEROZに過大な買い注文が殺到したことが想定されます。
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勝率約90%を誇るIPO投資の魅力!
HEROZの初値も驚きですが、日本株におけるIPO投資の勝率はなんと90%を誇ります。
IPOはどの会社でもできるものではなく、将来性や成長性、そして社会性に見合った会社のみ認められた「神聖なイベント」です。
従って、厳しい審査を勝ち抜いて上場したIPO銘柄には高い魅力があると言えます。
IPOバブルの到来か?!
このIPOの初値高騰ラッシュに、「IPOバブルでは?」との話も出ています。
実際、2000年頃に起きたITバブルの際には、IT企業が軒並み上場しては爆発的な値上がりを見せており、その後のバブル崩壊後は目をあてられないような惨劇がありました。
現在の動きは”バブル”なのでしょうか?
実際のところバブルではないと考えられており、その理由としてどの銘柄も値上がりしているわけではないからです。
従って、上場する銘柄が「10年後でも残り続ける会社」であるかどうかを検証した上で投資をすると、ある程度の成果が出てくることでしょう。
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2018年後半に注目のIPO銘柄は?
2018年の後半には有名銘柄の上場が予想されています。
特に注目なのが、携帯会社のソフトバンクでしょう。
親会社のソフトバンクグループから分離し上場してくる予定です。
安定した携帯利用料を元に、株主としても安定して保有していける銘柄となることが想定されます。
もう一社がZMPです。
2016年12月に一度上場承認がおりましたが、その後社内体制の見直しのため中止になった自動運転技術開発企業です。
実際2018年に日本交通と共同で無人タクシーの運用を開始するなど、日本のこれからを作っていく会社の一つとなることが想定されます。
他、USJやサントリーHDといった有名企業の上場の可能性も噂されており、今後ますますIPO市場から目が離せない状況となっています。
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まとめ
HEROZの初値は日本のIPO市場の歴史に大きく刻む結果となりました。
そこには期待とそれ以上に投資先不足となっている日本の株式市場の「飢餓」を垣間見ることができます。
今回取り上げたHEROZ自体は非常に将来性のある会社である一方、初値の価格はバブルの気配も感じさせてしまうもの。
IPO投資自体には妙味が大きいですが、上場前には必ずどのような会社なのか情報収集を徹底することが大切でしょう。
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