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皆さんはベンチャーキャピタルの存在について知っていますか?
IPO投資において大きく関わっているベンチャーキャピタルは、とくに勢いのあるIPO銘柄の株主として名を連ねていることが多いです。
そのため、IPO投資家の中で彼らの動向はとても観察されています。
今回は、ベンチャーキャピタルの役割を正しく理解していない方のためにもわかりやすく解説していきます。
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ベンチャーキャピタルの基礎知識
まずは、ベンチャーキャピタルとはどういう存在なのかについて解説していきます。
ベンチャーキャピタル(VC)とは?
ベンチャーキャピタルは、未上場企業を中心に投資を行うアクティブ投資ファンドのことを指します。
未上場企業でないといけないというルールがあるわけではありませんが、元々の投資方針として「ハイリスク運用」を行うことを前提にファンドの組成を行っているため、高いリターンが見込める未上場のベンチャー企業を中心に投資をしています。
そのためベンチャーキャピタルと呼ばれるようになりました。
略称としてVC(venture capital)とも表記される彼らは、投資原資となる資金を自己資金か投資家から集め、その資金を元に見込みのある企業に投資していきます。
また、ベンチャーキャピタルはただ投資をするだけでなく、その企業に対してアドバイスを行ったり、時には人材を派遣するなどし、企業価値の向上に向けた取り組みを行うこともあります。
ベンチャーキャピタルの一番目標として挙げられるのが、投資先の「IPO(新規上場)」です。
一般的にベンチャーキャピタルは投資先のリターン目標を「3倍~10倍」を目指して投資をしているため、IPOが中でも一番大きくリターンを回収できることになります。
そのためIPOに向けたアドバイスを積極的に行っています。
日本におけるベンチャーキャピタルはいくつかに分かれており、銀行や証券、保険の大手企業の傘下が行うベンチャーキャピタルや、NTTドコモやヤフー、総合商社系が設立したベンチャーキャピタルがあります。
それぞれ親会社の意向に沿った対象先に投資をするケースが多くあります。
その他慶応義塾大学系の大学系ベンチャーキャピタルや政府系ベンチャーキャピタルなど多岐に渡り、近年は独立系のベンチャーキャピタルも多くなってきています。
日本では元野村證券子会社であったジャフコがトップです。
特にジャフコの場合IPO向けはもちろんですが、上場・非上場を問わずサイズが大きい企業に対する企業買収も行う買収ファンドの形態も有しています。
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ベンチャーキャピタルが収益を上げる仕組み
ベンチャーキャピタルの儲け方ですが、大半を占めるものとして「IPO時の売却」です。
IPO企業の目論見書を見る際に、大株主に個人名ではなく「〇〇ファンド」等の記載があった際にはベンチャーキャピタルが入っている可能性があります。
ベンチャーキャピタルは投資先がIPOをする際に、売出株として応じるか、上場後に市場で売却するかをケースバイケースで行っていきます。
選択についてはベンチャーキャピタルの考え方によりますが、できる限り「高く売却する」ためにベンチャーキャピタルは取り組んでいきます。
ベンチャーキャピタルが投資する企業が必ずしもIPOを行うとは限りません。
場合によっては業績不振によって倒産するケースもあります。
実際のところ10社中1社でも成功すれば優れたファンドと言われています。
それほど確度が低いからこそ投資リターンについて10倍近くを目標に企業を見つけていきます。
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ベンチャーキャピタルから支援を受ける理由
ベンチャーキャピタルは多くのスタートアップ企業に対して投資を行っていますが、どの会社でも投資するわけではありません。
ベンチャーキャピタルは自己資金で運用しているならまだしも、投資家から預かった資金で投資を行っているため、厳しい基準をクリアしなければなりません。
投資をする基準は多岐に渡ります。
一方で、投資をされる企業側としてはどのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか。
企業側のメリット
企業側のベンチャーキャピタルを受け入れる一番のメリットとして「資金調達ができる」という点です。
ベンチャーキャピタルは見込みのある企業に対して現金を供給し、その対価として対象となる企業の「株式」を取得します。
一方のベンチャー企業としては、会社の規模がまだ小さく信用度が低いため銀行からの融資が受けられないというケースも多くあります。
実際、ベンチャー企業の場合は大半が赤字の企業も多く、資金供給が受けられないというジレンマがあります。
そうなると事業としては拡大傾向にある場合でも、必要な投資を行うことができません。
そこで、返済を必要としないベンチャーキャピタルからの出資を引き受けることで、成長に向けて投資を行うことができます。
この点でベンチャーキャピタルと企業側の相互メリットが発生します。
企業側のデメリット
一方でデメリットもあります。
ベンチャーキャピタルから出資を受けるということは、企業側の株主に対して希薄化が起こることになります。
出資を受ければ受けるほど元々の株式価値は小さくなっていくため、創業者メリットが少なくなってしまいます。
IPOを目指す企業オーナーとしては、できる限り自分自身へのリターンを大きくしたいものです。
しかし、ベンチャーキャピタルから出資を受けすぎると株式比率でベンチャーキャピタルの方が大きくなってしまい、場合によっては議決権を奪われ、自由な経営ができなくなってしまうリスクがあります。
そのためベンチャーキャピタルからの出資についてはバランスと必要性を要検討する必要がでてきます。
とはいっても、ベンチャーキャピタルが多く入っているベンチャーの場合は、非常に期待度が高い企業であることが客観的に理解できます。
従って投資家としては一つのバロメーターとしてベンチャーキャピタルの参加度合いを測ることができます。
- ベンチャーキャピタルの多さは企業の将来への期待の表れ
- ベンチャーキャピタルから支援を受けると自由な経営が難しくなる場合も
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ベンチャーキャピタルがIPO銘柄に与える影響
ベンチャーキャピタルがIPOに大きな影響を与えるという話も多く出ていますが、実際のところどうなのでしょうか。
ベンチャーキャピタル保有のIPOは人気化しづらい?
一例を挙げてみますと、2018年6月に上場したスマホフリマアプリを運営する「メルカリ」を見てみましょう。
上場時の大株主を見てみると、筆頭に創業者の山田進太郎氏が28.83%保有しています。
その他は多くのベンチャーキャピタルが名を連ねていました。
- 「グローバル・ブレイン5号投資事業有限責任組合」
- 「WiL Fund I, L.P.」
- 「イーストベンチャーズ投資事業有限責任組合」
- 「グロービス4号ファンド投資事業有限責任組合」など
公開価格が3,000円であった同社は、上場初値が5,000円と大幅に値上がりしました。
メルカリの場合、多くのベンチャーキャピタルが入っていますが、人気化する結果となりました。
上場後は多少値段は下げているものの、公開価格の3,000円を割れることはなく推移しています。
従ってIPO投資にベンチャーキャピタルが多く入っている場合でもとくに人気化しづらいわけではないと言えます。
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ロックアップ期間は必ずチェックしよう
ベンチャーキャピタルが入っているからといって、安心という訳ではありません。
その際に注意が必要なのが「ロックアップ期間」です。
IPO後は既存の株主も市場で株式を売却することができるようになります。
実際、上場前から株式を保有している社長やベンチャーキャピタルの場合、公開価格よりもかなり安い金額で株式を取得している可能性も高いため、すぐに売却してしまえば大きな利益を獲得できるようになります。
ただし、社長や役員の場合は企業統治のために売却を大きく制限されています。
一方ベンチャーキャピタルの場合はそのような制限がないため、多くの株数を保有している場合、市場で売却してしまうと大きく値下がりを呼んでしまうリスクが発生します。
その際に活用されるのが「ロックアップ期間」です。
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ロックアップは企業によって採用するしないはありますが、売却できない「期間」を設定することができます。
それによって仮に「90日」と設定している場合には、上場後90日は該当株主については株式を売却することができません。
ただし、もう一つ条件として「公募価格の1.5倍」といった金額の制限を設けている場合には注意が必要です。
仮にメルカリの場合で想定しますと、3,000円の1.5倍は「4,500円」であり、上場後にこの金額を超えてしまった場合、ベンチャーキャピタル等が自由に売却できるようになります。
従ってIPOの初値が大きく値上がりした場合でも、金額の条件設定がある場合にはセカンダリー投資においても注意が必要となります。
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- ベンチャーキャピタル保有のIPOが上がりづらいということは無い
- IPOの際には必ず目論見書のロックアップ条件を確認しよう
まとめ
ベンチャーキャピタルについて様々な情報が飛び交っていますが、IPO投資ができるのもベンチャーキャピタルがリスクを取った上で、その企業が成長した結果です。
従って、ベンチャーキャピタルに対する見方を改める必要があります。
一方で、ベンチャーキャピタルとしては売却して資金を回収して初めて投資が成功であるため、必ず売却してくると言えます。
中でも高い成長を見込める会社であればあるほど、ベンチャーキャピタルの参加者数が多くなる傾向があります。
IPO投資をする際には必ず目論見書に目を通し、大株主に入っているベンチャーキャピタルの名前とロックアップ制限についての確認を怠ることのないようにしましょう。
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