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今回は、株式投資を法人として運用することについて解説していきます。
法人化することには多くのメリットがある一方、デメリットも多いのですが、
重要なことは、個人でも法人でも株式投資で利益を出す難易度は変わらないということ。
株式投資の最大の目的は「人生をより豊かにすること」にあります。
この目的と照らし合わせて、法人化することについて参考になれば幸いです。
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株式市場の投資家は3つの種類に分けられる
株式市場に参加している投資家は3つに分類することができます。
個人投資家
個人投資家は、会社の資金ではなく個人の資金で投資活動を行う人のことで、証券会社を通して売買を行っている個人投資家はここに該当します。
日本の株式市場においては、「下がった銘柄を買う」という逆張りをする人が多いことが日本の個人投資家の特徴。
世界的に日本の個人投資家は「ミセス・ワタナベ」と揶揄されることが多いです。
ミセス・ワタナベとは、感情の赴くまま本能に従った行動をする投資家を指しており、日本の個人投資家は世界から非合理的な投資をしていると見られているのです。
機関投資家と外国人投資家のカモにされているというのが、日本の個人投資家の悲しい現実となっています。
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機関投資家(法人)
機関投資家は、保険や銀行、投資信託、年金基金といった企業(法人)投資家を指しています。
個人では到底考えられない大規模な資金で取引をしており、数百億円の資金を運用している機関投資家は「ビッグボーイ」と呼ばれることも。
ちなみに、国内で最も影響力の大きい機関投資家は公的年金を運用しているGPIFで、運用額は150兆円に及びます。
先日公表された2018年10~12月期のGPIF運用実績では、なんと15兆近くの赤字に。
GPIFが抱える資産の約1割が吹き飛ぶ過去最大の損失で注目を集めています。
外国人投資家
経済ニュースでもよく耳にする外国人投資家とは、外国の運用機関のことを指しています。
外国人投資家の中に個人がいないこともないですが、その大半は外国企業で、主に外国の年金基金(資産運用会社)や政府基金、ヘッジファンドなど。
日本の年金基金GPIFも運用資金のうち25%を外国株式で運用しているように、外国の年金基金も一部は日本株で運用しているということです。
東京証券取引所で外国人投資家の取引は全体の約6割に及ぶと言われており、外国人投資家の影響力は非常に大きいことがわかります。
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- 個人投資家は機関・外国人投資家のカモになっている
- 国内で法人として株式投資を行う場合は機関投資家に分類される
- 国内最大の法人GPIFが過去最大15兆円の赤字を出している
法人化するメリット・デメリット
法人として株式投資を行うメリットとデメリットをそれぞれ確認しましょう。
法人化のメリット
- ローンやクレジットカードの審査に通りやすい
個人の場合、株式投資の利益は所得証明に反映されないため、いくら利益があってもローンやクレジットカードの審査に通りにくい。しかし、法人化して投資の利益を給料として受け取るようすると審査に通りやすくなります。
- FXや不動産投資などと損益を合算できる
個人で株式投資の他にFXや不動産投資を行っていると、どれか一つで赤字になっても損益を合算できません。しかし、法人で事業として投資を行っている場合は、損益を合算して節税することができます。
- 海外から日本株投資ができる
証券口座を開くとき、日本国内に住所があることが条件となっています。しかし、法人口座なら日本に住んでいなくても日本株に投資することが可能。海外に住む日本の投資家のように、日本株をトレードしながら生活費が安い東南アジアで悠々自適に暮らすというライフスタイルも可能です。
- 諸経費を計上できる
法人化することで株式投資に掛かった通信代や勉強代、交際費などを経費に計上することができるため、節税することができます。
- 相続税対策になる
家族を社員として雇い、給料を払うことで、生前贈与にならずに相続前にお金を贈与することができます。
法人化のデメリット
- 税率が高くなる
法人化することで利益から諸経費を引けるようになる一方で、個人の場合は約20%(所得税+住民税)となる税率が、法人では約30%になります。
- 社会保険料負担が高くなる
個人投資家の場合は国民年金・国民健康保険で社会保険料負担が軽くなりますが、法人の場合は厚生年金・健康保険に加入する必要があります。具体的には、国民年金は月16,000円ですが、厚生年金は収入の18.3%となる。
- 手間が掛かる
法人は特定口座を使えないため、税理士に委託するか個人で損益計算をやる手間が増えます。株式投資を(収益/時間)生産性という観点から見るとマイナスにでしょう。
個人と法人の5つの大きな違い
法人 | 個人 | |
所得証明 | 給料としてもらうことで所得証明として認められる | 所得証明として認められない |
税率 | 経費が認められるが、税率約30% | 経費が認められないが、税率約20% |
確定申告 | 一般口座しか使えないため手間が掛かる | 特定口座を使えば手間が掛からない |
損益通算 | FXや不動産投資、その他の事業との損益通算が認められる | 他の金融資産との損益通算は認められない |
社会保険料負担 | 厚生年金・健康保険で高い | 国民年金・国民健康保険で安い |
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株式投資のために法人を設立する
投資会社を設立するときのポイントをまとめていきます。
初めてなら税理士を頼ろう
投資法人を一般の人間が設立しようとすると、分からないことが山ほど出てきます。
書類の作成や税金処理など、株式投資とは別の業務も発生してくるでしょう。
法人設立をするための本も参考になりますが、初めて法人を立ち上げる場合、税理士を頼ることをおすすめします。
法人を立ち上げる際の注意点
- 投資の収益は常に不安定であること
法人化することで利益から諸経費を引けるようになる一方で、個人の場合は約20%(所得税+住民税)となる税率が、法人では約30%になります。
株式投資やトレードによる収益は不安定なものであり、これは法人化しようがしまいが変わらないでしょう。
それに、他に従業員として雇った場合は毎月の給料を払わなければいけない精神的負荷ものしかかり、運用成績にも影響を及ぼしかねません。
投資法人を立ち上げたはいいものの、下手に従業員を雇ったり、他人の資金を運用する業務を引き受けてしまったがために立ち行かなるケースもあります。
法人の設立はあくまで個人の投資活動の延長と考えた方がよいでしょう。
- 節税対策になっているか
法人を立ち上げる最大の目的は、税引き後の利益を最大化することにあります。
法人化して様々な手間が増えるにも関わらず、税引き後の利益が個人で行っていた場合よりも減ってしまっては意味がありません。
経費の計上や損益通算、相続税対策など様々なメリットはありますが、具体的な計算をしてみたら意外とプラスに働いていないこともありえます。
株式投資を法人として運用する前に、手元の残るお金を具体的に算出してみるとよいでしょう。
▼おすすめ記事
【株の税金対策はどうしてる?利益に関わらず知っておきたい基本知識】
- 株式投資を行うための法人の設立は簡単ではないため税理士を頼ろう
- 利益に対する税金は、個人では約20%ですが法人だと約30%になってしまう
- 法人として株式投資を行う最大の目的は利益を最大化すること、これを忘れてはいけない
まとめ
法人化することで社会的な信用力が得られ、損益合算や相続による節税対策など可能になりますが、税率の増加や事務上の手間は増えます。
株式投資を法人として運用するならば、安易に従業員を雇用したり他人の資金運用をしたりせず、あくまで個人の延長で考えましょう。
「株式投資の利益を法人化で最大化する」という目的からブレてはいけません。
予定通り手元に利益が残るかどうかについては、事前によく考えて事業計画を練りましょう。
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