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投資信託は、うまく使えば資産を大きく増やすことができますが、同時に資産を大きく減らしてしまう場合も考えられます。
投資信託はリスクのある金融商品ですから、ある程度の知識が必要です。
とくに、投資信託の仕組みをよく理解していない状態で営業マンの言われるがままに投資先を決めると、大きな損失を招く恐れもあります。
今回は、これまで実際にあった失敗例をいくつか取り上げ、投資信託の正しい使い方を考えていきます。
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事前調査編~投資信託の仕組みを理解していない~
そもそも投資信託の仕組みがわからなければ、損するリスクのある商品と考えることも難しいものです。
とくに銀行で購入する場合は、定期預金と同じような商品と考える方もいるかもしれません。
以下の失敗例は、投資信託の仕組みを理解していないことの代表例といえるでしょう。
定期預金をする目的で銀行に行った際に、「戦争が起きない限り元本は絶対大丈夫。保証する」などと何度も説明を受け投資信託を契約した。その1年後、解約しに行ったら、「今解約してもほとんどお金は戻らない」と言われそのまま継続しているが、最初の説明と全く違い、だまされたのでないかと思う。
このような例は、以下の知識があれば簡単に嘘とわかるものです。
- そもそも投資信託は元本保証ではない
- 業者が投資家に対して損失補てんを行うことや約束することは禁止
業者から詳しく説明を聞くことはもちろん大切ですが、その説明が正しいか判断するためにもご自身で調べることは大切です。
あわせて、解約条件も確認しておきましょう。
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- 投資信託を始める前にご自身でしっかり仕組みを学んでおくことが大切
購入編
投資信託で失敗するケースは購入時に発生することが多いものです。
代表的な失敗例をみていきましょう。
商品選びを営業マンまかせにする
資産運用をしたい方のなかには、以下のような考えの方もいるでしょう。
- 素人よりも営業マンの方がプロなのだから、専門家に任せれば問題ない
- 信頼できる人がすすめる商品なのだから、信用できる
しかし、このような基準で商品選びをすることは、あなたの資産を大きく失うことにつながります。
以下の失敗例があります。
新興国が対象の投資信託の運用成績は、ここ4~5年右肩上がりという勧誘を受け、よく調べないまま営業マンの言いなりになって購入した。
半年後には基準価額が3割下落したが、営業マンに勧められて追加購入してしまい、その後基準価額は購入時の3割まで下がってしまった。
販売会社は投資信託を売ると手数料収入が得られますから、自社の販売成績を上げる目的で勧誘する場合もあります。
そのため投資信託の運用について詳しくないかもしれません。
従ってあなたの大切な資産を営業マン任せにすると、失敗につながることも十分に有り得ます。
人気のある投資信託を選ぶ
人気のある、あるいは話題性のある投資信託を選ぶことも、よくある失敗例のひとつです。
以下の事例を考えてみましょう。
「シェールガス」に投資をする投資信託が人気投信ランキングでトップだったため、資産の半分に相当する1000万円を投資した。ところが、1年半後の成果はマイナス45%となってしまった。
投資信託の値段は、購入希望者が多ければ値上がりし、売却希望者が多ければ値下がりすることが基本です。
このため人気のある投資信託は「話題になっているから儲かる」と思われることがあり、値上がりを続けることで購入希望者も多くなります。
結果として割高な価格で購入することとなり、その後に価格が下落することで損失を被ることに繋がります。
資産の大半を投資信託につぎ込む
資産の大半を投資信託につぎ込むことは、大きな失敗につながります。
典型的なケースとして2012年1月、国民生活センターに寄せられた相談例を取り上げてみましょう。
定期預金が満期になったことを期に、毎月分配金が約24万円もらえる投資信託を銀行窓口で勧誘され、家中の資金を集め約3,000万円で投資信託の契約をした。
しかし元本は2,000万円まで減ってしまった。
そもそも資産の大半を投資信託につぎ込むことはハイリスクです。
確かに、購入した投資信託商品が値上がりすれば大きな利益を得られますが、元本保証でないことを忘れてはいけません。
大きく値下がりすれば、本件のように大きな損失を被ることとなってしまいます。
そのため資産の大半を投資信託につぎ込むことは、投資の基本である分散投資と正反対の行為ですから、極力避けるべきです。
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- よく検討せずに購入したり、資産の大半を一つの投資信託につぎ込んだりすることは投資信託における典型的な失敗例
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運用編
投資信託は運用期間中においても、注意すべきポイントがあります。
この点について確認していきましょう。
運用成績や分配金の原資をチェックしない
投資信託は分配金が支払われますが、それは預金でいう利息とは限りません。
投資信託の分配金は元本を取り崩して支払っている場合もありますから、注意が必要です。
この点については、以下のような事例があります。
退職金の運用を銀行窓口で相談したところ、毎月分配金が受け取れる投資信託をすすめられ、契約した。しかし1年後、資産は15%減少し、分配金の額も引下げになってしまった。
「目標払出し型」など、定期的に分配金を支払う額が定められた投資信託では、元本を取り崩して分配金の支払いにあてる場合もあります。
この場合、あなたの資産は減ってしまいます。
運用成績のチェックをする意味でも、分配金の原資が何か毎回チェックすることが必要です。
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短期間の運用しかしない
投資信託は複利効果で大きく増やす金融商品ですから、短期的な運用は利益の追求には向きません。
また、手数料がかさみ、結果として損することに繋がります。
先に説明したAERAの記事では、以下のような事例解説もされています。
投信を販売手数料を稼ぐための商品と見ている金融機関は多い。個人投資家に長期で保有してもらうより、新しい商品を次から次へと購入させて手数料を稼ぐほうがいいのです。回転売買と言い、金融機関などがよく使う手法です。
この例では金融機関が短期売買をすすめるケースですが、投資家の側も数ヶ月で利益が出ないからといってすぐ他の商品に乗り換えれば、やはり手数料がかさむことになります。
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失敗例から学ぶ投資信託の教訓
ここまでご紹介した様々な失敗例から、投資信託の教訓を学ぶことができます。
まず商品の内容を理解して、自分で比較検討する
お店で買い物をする際、何だかよくわからない商品を購入する人は少ないでしょう。
投資信託の仕組みは難しい部分もありますが、ご自身でしくみや商品を理解し、比較検討することが大切です。
ファイナンシャルプランナーなどの専門家にアドバイスを求め、参考にすることも1つの方法です。
また、営業マンは会社の利益を考える場合もありますから、必ずしも投資家の利益になる説明をするとは限りません。
このため営業マンの説明は判断材料を提供するアドバイザー程度と考え、最終的な決定は投資家自身で行うことが大切です。
分散投資と長期投資は鉄則
投資信託では、分散投資が鉄則です。
複数の商品が同時に大きく値下がりするリスクは少ないですから、資産をいくつかの金融商品に分散させることで、資産を大きく失うリスクを減らせます。
また、投資信託は分配金を再投資することによって複利効果を生み、大きく増やすことができますから長期投資に向いています。
逆に利益が出ないからといって数ヶ月間で売買を繰り返すことは、手数料がかさみ、損失となる可能性が高くなります。
投資信託は人気が出れば基準価額は上がる
投資信託の基準価額が上がる基準は、商品の良し悪しではありません。
買う人が多ければ上がり、売る人が多ければ下がるという、シンプルな基準によります。
言い換えれば、人気が出れば基準価額は上がるということになります。
特に基準価額が急上昇している投資信託は、高値で購入した人が多いことを示しますから、いったん下がり始めると急下降する恐れがありますので注意が必要です。
運用成績の定期的なチェックを忘れずに
投資信託は運用成績が変動する商品ですから、いま利益が出ていてもずっと儲かるとは限りません。
むしろ基準価額のアップダウンを繰り返す商品といえるでしょう。
このため、運用成績を定期的にチェックし、基準価額の値下がりが続くと見込まれれば、速やかに売却する必要があります。
また投資信託では元本の取り崩しをして分配する場合がありますから、分配金の原資もチェックすることが必要です。
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まとめ
今回は、投資信託の失敗例を取り上げてきました。
失敗を防ぐには、以下の点が大切といえます。
・投資信託について自ら学ぶ
・仕組みを理解できる商品に投資する(よくわからない商品は購入しない)
・営業マンの説明はアドバイス程度に留める
・不要なものはしっかり断る
また投資の基本である分散投資と長期投資を心掛けることも必須。
商品をよく調べていくと、思わぬよい商品が見つかるかもしれません。
楽して儲かる商売はないと言われる通り、投資信託で利益をあげるためには、投資家自身の努力も必要です。
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